冬季練習をケガなくこなせるポイントとは?
先日、セトナミSCさんにお呼ばれし、トレーニング指導をさせていただきました!
テーマは「来シーズンに花開く!冬季練をやり切れる身体つくりトレーニング!」
小学生から中学生、一般の方々など30名近い方にご参加いただきました
本当にありがたい限りです!
結構色々なことを一気に説明したので
「あれどうだったっけ?」
となっている方もいらっしゃると思います
しょうがない、めっちゃ喋ったので笑
という事でお伝えした内容を図や動画を交えてご解説したいと思います!
結構長えからゆっくり読んでってください!
目次
冬季練習の目的って?
そもそも冬季練習は何を目的に行うと思いますか?
ただキツい練習をする時期ではなくて、ちゃんと理由があります
来シーズンに向け基礎体力を上げる
ざっくり言うと高いパフォーマンスを発揮できるように基礎となる身体つくりをすることです
パフォーマンスとはいわば競技力とも言い換えれますが、素早く動く、高く跳ぶ、遠くに投げるなどの基礎的な動作を軸にした各スポーツの専門的な能力の底上げにつながります。
最初にまとめ!
◎冬季練習では動作の偏りを無くして身体へのダメージを少なくする事が大事!
◎背骨と股関節の可動性を高める事は身体への衝撃を和らげる
◎安定した体幹はケガの予防にもパフォーマンスアップにも有効!
◎柔らかすぎるのも固めすぎるのもNG!しなやかな身体を作ろう!
冬季練習はケガをしやすい!
冬季練習はケガをしやすい時期でもあります。
陸上競技におけるシーズン中は各専門種目特有の練習を行うため、動作が一方向に偏り、一部位に対してストレスが生じやすくダメージが蓄積されやすい傾向にあります。
ある程度のストレスは身体を強くするために必要ではありますが、持続的なストレスの継続は逆に身体に対するダメージとなってしまいます(図1)
冬季練習は基礎体力の向上のために負荷が高く、量も多い内容のトレーニングが多いため、
シーズン中に偏った動作に加えダメージが蓄積された状態に冬季練の負荷が生じると
身体が耐え切れずシンスプリントや疲労骨折などのケガが起きる可能性があります。
ケガの予防を進めつつ基礎体力を高めて身体を作る!
以上のことから、冬季練習ではケガの予防を行いつつ、負荷の強い練習をこなせることで基礎体力を向上し
高いパフォーマンスを発揮できる身体を作ることが重要になります。
ではケガの予防に重要な要素とは何なのでしょうか?
1つずつ解説していきます!
動く背骨と股関節を作る
まずは背骨と股関節の可動性はとても重要になります
特に背骨の可動性(+安定性も)は衝撃を吸収する力を養うのに、とても重要な役割を果たしています。
背骨ってS字のカーブを描く構造なんですけど、この形が衝撃吸収に役立っているんですね
ご高齢の方を対象にした研究でも、脊柱のS字カーブが失われると背骨の骨折のリスクが8倍まで増加するともいわれています!
また過剰なS字カーブも衝撃吸収機能が失われ、腰椎分離症といった腰への負担を上げるという報告もあり、
猫背や反り腰、フラットすぎる背骨など動きの硬さから生じる姿勢の崩れは様々なケガのリスクとなります
姿勢の崩れの要因として、よくあるのが胸椎・肋骨や股関節の硬さが挙げられます。
身体の各関節には可動性を求められる部位と安定性を求められる部位があり、
「Joint by Joint Theory」と提唱され世界的にも活用されています。
例えば可動性が求められる股関節が硬いと隣接する腰椎や膝関節への負担が生じやすくなるなど
身体に生じるストレスを理解するのに非常に役立ちます。
スポーツの現場でもよく見られるシンスプリントや慢性的な腰痛を抱えている選手を見ると
ほとんど、図のような各関節の役割が破綻している事が多い印象を受けます。
手足をコントロールする強い体幹を作る
体幹の強化は、プライオメトリクス(爆発的な強さを要するトレーニング)のパフォーマンスにも良い影響を与えます。
プライオメトリクスは、瞬発力やパワーを高めるために用いられるトレーニング方法で、競技パフォーマンスの向上に不可欠です。
ハードルジャンプやボックスジャンプやバウンディングといったトレーニングがこれにあたります。
非常に重要なトレーニングの一方で負荷がとても高くケガのリスクにも気を付けなければなりません。
ケガのリスクを軽減するためにも体幹の安定性が高まることで、これらの動作を安全かつ効果的に実行できるようになります。
また、体幹トレーニングとプライオメトリクスの組み合わせは、
腰や大腿部・膝関節のスポーツ障害の予防とリハビリにおいても良い結果を示してると、John Hillらの研究で示されています。
動く背骨・股関節+安定した体幹=しなやかで強い身体を作る
よく様々な方から、「身体が柔らければいいのか」「プランクのように固める体幹トレーニングをやればいいのか」
というご意見をいただくことがあります。
「柔軟性がある」「ひたすらプランクができる」自体はとても素晴らしい身体の特性ではありますが、
注意しなければならないのは「偏らない」ことです。
柔軟性が高い方で前屈で手のひらがべたっとついたり、バレエダンサー並みに開脚ができるという方は、
関節自体が緩い特性を持っている可能性があります。特に女性に多い特性ですが、関節自体の
安定性が低下しているため、関節のケガのリスク(特に接触時における膝関節のケガ)が高くなりやすいといわれています。
そういった方は筋量を確保しプライオメトリクスに取り組むことで障害予防を行いつつ、
パフォーマンスアップに向けた身体つくりを行うことができます。
体幹トレーニングに関してもプランクのような姿勢を保持するエクササイズでは、
頭や肩、骨盤や足の位置などフォームを意識しつつ腹筋への意識を促すという点で
身体を感覚を高めつつ、良い姿勢つくりに役立つという利点はあると考えています。
しかしスポーツにおいては動作の中で体幹を安定することが求められます。
固めるだけのエクササイズは動作のコントロールを妨げる可能性も考慮に入れなければなりません。
以上のことから、身体には可動性も安定性も求められます。
「一瞬でダイナミックな動きを行う」
「同じフォームを力みなく行い続ける」
「急激な衝撃に対して瞬間的に踏ん張る」
このような動作を身に着けるには動く背骨・股関節と安定した体幹の働きがめちゃくちゃ重要になるんです
おすすめエクササイズ紹介!
ここからは先日行ったセトナミSCさんでのトレーニングでもお伝えしたエクササイズを中心にご紹介します!
動く背骨・股関節を作るエクササイズ
体幹強化エクササイズ
殿筋強化エクササイズ
スプリントに繋げるおすすめエクササイズ
さいごに
最後までお読みいただきありがとうございました!
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皆さんのこれからの冬季練習に少しでもお役に立てれば嬉しいです!
参考文献・参考サイト
Hill, J. (2011). Review and role of plyometrics and core rehabilitation in competitive sport.
Castillo, E.R., Lieberman, D.E. “Lower spine curvature is an essential shock absorber for runners.” The Journal of Experimental Biology, 221, jeb181875.
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